2025年5月20日のGoogle I/O開発者カンファレンスで、GoogleはそのAIコーディングアシスタント「Jules」が全世界のパブリックベータ段階に進んだことを発表しました。GoogleアカウントとGitHubアカウントを持っているすべての開発者が利用可能です。
このGemini2.5Proモデルに基づく非同期コーディングエージェントは、バグの修正、テストの作成、依存関係の更新など、煩雑なコーディングタスクを自動化することで、開発者の生産性を向上させることを目指しています。
非同期タスク処理とGitHubとのシームレスな統合
JulesはユーザーのコードリポジトリをGoogle Cloud仮想マシン(VM)でクローンし、非同期的にコーディングタスクを実行します。これにより、開発者はタスクを提出した後、他の作業に集中できます。バグの修正、単体テストの作成、依存関係のアップデート、新機能の実装など、さまざまなタスクに対応し、複数ステップの計画を生成して完了後にはGitHubのプルリクエスト(PR)を自動的に送信します。GitHubとの統合機能は追加の設定なしで既存のワークフローで動作し、使用の敷居を大幅に下げています。Googleは、Julesがプライベートコードに訓練されない、隔離されたクラウド環境で動作することを強調しています。
透明性のあるワークフローと開発者のコントロール
Julesの特徴的な点はその透明性と制御の容易さです。タスクを実行する前に、Julesは詳細な計画と推論プロセスを生成し、開発者が事前にプレビューして調整することができます。完了後にはコード変更の差分(diff)ビューとオプションの音声による変更ログが提供され、迅速なレビューが可能です。開発者は自然言語の指示(例:「utils.js内のparseQueryStringにテストを追加」)を使ってタスクを駆動でき、プロジェクト貢献ガイドラインに従って自動的にコードスタイルを調整し、チームの規範に一致させることが可能です。
無料タスククォータと今後の拡張計画
パブリックベータ期間中、Julesは各ユーザーに毎日5回の無料タスクと同時に進行可能な2つのタスクのクォータを提供しており、中小規模の開発チームにも試用を促しています。Googleは2025年末までに有料サブスクリプションや企業向け機能を導入する予定で、その中にはより多くのタスククォータや深層カスタマイズオプションが含まれる予定です。現在、JulesはPythonとJavaScriptをサポートしていますが、今後Go、Java、Rustなどの他の言語への拡張も検討されています。ネット上の議論では、開発者はJulesの優れた計画優先順位付けとコンテキスト理解能力に賛辞を送っていますが、複雑なプロジェクトやインターフェースデザインの処理についてはさらなる改善が必要だと指摘されています。
Julesのリリースは、OpenAIのCodexやMicrosoftのGitHub Copilotを直接挑戦するものであり、AIコーディングツールがコード補完からフルプロセスの自動化へ移行する新たな一歩を示しています。Codexの37%のタスク完了率に対して、Julesはマルチステップタスクや大規模プロジェクトでのコンテキスト理解においてより安定しており、特に企業レベルの開発に適しています。Googleは無料クォータやクラウドエコシステム統合(ColabやGemini APIなど)を通じて入門障壁を低くし、多くの開発者がそのプラットフォームに移行する可能性を高めていますが、その言語サポート範囲や大規模展開時の安定性についてはさらなる検証が必要です。
Julesのグローバルβリリースは、GoogleがAI主導型開発領域における野心を示すものであり、非同期ワークフロー、透明な制御、GitHubとの深い統合により、開発者の効率的なアシスタントとして注目を集めています。AIbaseは引き続きJulesのパフォーマンスとユーザーフィードバックに注目し、AIコーディング分野でのさらなる革新を期待しています。
アクセスリンク: https://jules.google/