世界的チームコラボレーションソフトウェアの巨頭であるAtlassianは水曜日に、ニューヨークのスタートアップ企業The Browser Companyを6億1,000万ドルの現金で買収すると発表し、AIブラウザ市場に参入することを正式に表明しました。今回の買収は、後者が開発したDiaとArcブラウザの技術を活用し、知識作業者向けのAI駆動型ブラウザ体験を提供することを目的としています。
The Browser Companyは2019年に設立され、革新的なブラウザデザインで知られています。そのArcブラウザは2022年にリリースされ、内蔵されたホワイトボードやタググループの共有機能などを備えており、ChromeやSafariなどの主流ブラウザに挑戦しています。同社は今年6月にテスト段階に入ったDiaブラウザをリリースし、AIインタラクション機能を特徴としており、複数のタブでのAIアシスタントとの対話などがあります。
AtlassianのCEOは、現行のブラウザは主にウェブページの閲覧ではなく、作業環境を考慮して設計されていないと語っています。これらのブラウザはユーザーの業務環境やビジネスプロセスへの理解が不足しているため、会社は今回の買収を通じて、AI時代における職場用ブラウザを再定義したいと考えています。The Browser Companyの革新的なデザインとAtlassianが保有する企業協力ツールの経験を組み合わせることで、そうした目標を達成する予定です。
取引の枠組みでは、The Browser CompanyはAtlassianの下で独立運営を維持し、Diaブラウザの開発と推進に専念します。Diaの目標は「より多くの人々がAIブラウザを使用できるようにすること」であり、AI技術を用いてウェブページを対話可能なツールに変換し、スケジューリングからデザインレビューに至るまで、複雑な業務プロセスをサポートします。
Atlassianには30万社以上の企業顧客がおり、そのうち80%以上はフォーチュン500強企業です。これはDiaの市場拡大にとって大きな支援となります。また、同社はAIアプリケーションにおいても豊富な経験を持ち、プラットフォームのAI機能の月間アクティブユーザー数は230万人を超えています。
Arcブラウザはすでに保守モードに入っていますが、一部の機能はDiaに統合され、さらに企業向けのセキュリティおよびコンプライアンス機能が追加され、大規模企業のニーズに対応する予定です。
今回の買収は、AIブラウザ市場の競争が激化する中で行われています。以前、The Browser CompanyはAI検索企業のPerplexityやOpenAIと買収交渉を行っていました。マイクロソフトのEdgeのCopilot機能、Perplexityのブラウザ計画、OperaのAI機能などからも、AIブラウザが企業生産性ツールの新たな戦場となっていることがわかります。
The Browser Companyの創設者は「ブラウザが新しいオペレーティングシステムになりつつある」と述べています。Atlassianとの提携により、Diaはクロスプラットフォームのアップグレードが可能となり、特にWindowsプラットフォームのサポートが強化される見込みです。AtlassianはJiraやConfluenceなどのコア製品をDiaのAI機能と統合し、よりスマートな職場エコシステムの構築を目指しています。