GoogleやMicrosoftなどのテクノロジー大手企業が次々とメールサービスにAI機能を導入する中、プライバシーとセキュリティで定評のあるProton Mailも、独自のAIライティングアシスタント「Proton Scribe」をリリースしました。この新機能は、ユーザーがより効率的にメールを作成・最適化し、同時にプライバシーを厳格に保護することを目的としています。
Proton Scribeは、プライバシー保護を十分に考慮して設計されています。Proton Mailはゼロアクセス暗号化を採用しているため、Scribeはユーザーの受信箱データにアクセスして学習することはできません。また、Protonはユーザーのメール下書きの内容を保存または記録することもありません。ユーザーは、ローカルシステムでScribeを実行するか、Protonのログなしサーバーで実行するかを選択できます。さらに特筆すべきは、Scribeがオープンソースモデルとコードに基づいており、独立した研究者によるプライバシーとセキュリティの監査を可能にすることで、透明性と信頼性をさらに高めている点です。
機能面では、Proton Scribeは豊富なライティング支援ツールを提供します。Proton Mailのエディターにある鉛筆アイコンをクリックするだけで、簡単にScribeにアクセスできます。メールで伝えたい内容をツールに指示すると、下書きを作成してくれます。Scribeには「短縮」と「校正」のオプションもあり、下書きの圧縮と整理に役立ちます。さらに、ワンクリックでメールのトーンをよりフォーマルなものに調整することもできます。送信する前に、AIが生成した内容をいつでも確認・修正できます。
現在、Scribeは英語のみを完全にサポートしており、Protonは条件を満たすユーザーに段階的にこの機能を展開しています。価格設定については、VisionaryとLifetimeのサブスクライバーはScribeを無料で利用できます。Proton Businessプランのユーザー(Mail Essentials、Mail Professional、Proton Business Suiteを含む)には、14日間の無料トライアルを提供しています。トライアル終了後は、ユーザーごとに月額3ドルの費用がかかります。
Protonは、ライティングアシスタントが最近のユーザー調査で最も人気のある機能の1つだったと述べています。Scribeのリリースにより、Protonはユーザーに安全でプライバシー重視のAIライティングツールの代替案を提供し、スマートなライティングアシスタンスのニーズを満たしながら、同社のプライバシー保護の理念を堅持することを目指しています。