【AIbase ニュース】IBMは、半導体スタートアップ企業のGroqと戦略的提携を発表し、同社の高性能推論技術をwatsonxプラットフォームに統合し、企業向けに高速でコスト効果の高い人工知能ソリューションを提供する。今回の提携は、IBMが企業向けAI加速分野で重要な一歩を踏み出すものである。
この提携により、IBMのユーザーはWatsonx Orchestrateから直接GroqCloudサービスにアクセスできる。Groqは独自開発した言語処理ユニット(LPU)アーキテクチャで知られており、特定のAI推論タスクにおいて従来のGPUシステムよりも5倍以上速く動作し、エネルギー消費とコストを大幅に削減すると主張している。
IBMによると、双方の技術統合は医療および小売業界に優先して適用される予定だ。例えば医療分野では、数千件の患者の質問に同時に効率的に応答できる。小売業界では、人事やサプライチェーンのスマートな自動化に利用される。さらに、IBMとGroqはRed Hatがオープンソース化したvLLM技術をGroqのLPUハードウェアと組み合わせ、モデル展開の柔軟性を向上させ、GroqCloudがIBMが自社で開発したGraniteモデルをサポートすることを目指している。現在、IBMの顧客はGroqCloudのコア機能を直接利用できる。
2016年に設立されたGroqは、すでに200万人以上の開発者を保有しており、GPUの代替として位置づけられ、「アメリカのAIスタック」の重要なメンバーでもある。今回の提携は、watsonxの計算性能を向上させるだけでなく、企業顧客がAIエージェントを試験段階から本番環境へと拡大し、速度、コスト、信頼性が非常に求められる医療、金融、政府、小売、製造などの業界にわたって活用できるようにすることを目的としている。